去年の十一月(このあたり)から今でもずっと、「最近カレーを食べていない」と言い続けている。
それまでは三週間に二回くらいのペースで晩ご飯にカレーが出たものだったが、年末から今日までの家での総カレー数は三回とかそんな感じだと思う。もちろん「昨夜の残りを朝食べるカレー」は数に含めていないぞ。そして「最近カレー食べてないな…」と気付いた冬の日以来、私は外食する時メニューにカレーがあるととりあえず第一候補に挙げる程度の、にわかカレーファンになっていた。何もしなくてもほぼ毎週カレーにありつけたあの頃は別に外でわざわざカレー食べようだとか、カレー食べたいだとか思うこともなかったんだ。「カレーが好きなんてお子ちゃまね、ま、おいしいけどね(笑)」などとコアなタマネギファンを気取っていたんだ。Jポップ(笑)というだけで見下すロッカー気取りだったんだ。「流行になんか流されねェ」って時代の波に抗ってる野郎共ってのは、「マイナーなモノ好きなオレってカッコイイ」が基本で、好きだったモノが人気になってきちゃうと世の中の馬鹿共に見つかったことが気に食わず「昔の方が良かったな…」とか言っちゃって、大衆が好んでるって理由だけで本当に良いモノすら浅はかだと勘違いしちゃうもんなんだ。「群がるのなんてカッコワリーよ」、私もそんなありふれた似非ロッカー精神でカレーのこと好きって言わなかったんだ。心の中では愛しているし、体はこんなにも求めてやまないのに。カレーは私を拒まないのに。でも今は違う。もうわかったの。他の誰が何と言おうと、カレーは良いモノだし、私がカレーを好きだってことを認めたいの。多数派に群がってる?違う。本当は逆。奴らが私のマネをしてるんだ。世のカレーファンは皆、私に群がっているのだ。
そういったわけで、家でカレーを食べなくなってからは外でカレーを食べることによって湧き上がるカレー欲を発散しています。「家じゃダメだから仕方なく外で済ます」って何だかマンネリ夫婦の旦那みたいな心境。ま結局、ウチのが一番なんですけどね!