世間知らずの小娘だけど、社会人になって本当にちょっとずつ、ささやかなことで経験値を積んでいる。オンラインショッピングや銀行振込、口座開設、有休申請、新幹線の予約……きっと、大半の人がすっとできるような事を、その都度ネットで「○○ やり方」なんて調べたりしつつ、一大イベントのようにこなしていく。高校で初めて定期券の継続を申請した時も、ドキドキしながら窓口に並んだなぁ。
最近、また一つ「大人になったな」と思うことがあったので、成長の記録として残しておく。
一連の出来事をざっとまとめるとこんな感じ。
・中学時代の友人から宝石の展示会に誘われる。
・興味ないなーと思いつつ、友人付き合いを優先して出向く。
・販売員付きっきり&友人のアシストにより、指輪を買わされる。
・後に、宗教絡みのブランドのイベントだったことを知る。
・その宗教がわりとヤバイことを知る。
勧誘の時点で勘付いてはいた。だって場所と概要で検索すると、イベントに関する情報が知恵袋のこの質問しか出てこないんだもの…。怪しい勧誘だったとして、それはそれで社会経験かな、なんて思ってた。「試着いっぱいできて楽しいよ」って言われて、興味ないとはいえ、知らない世界を体験してみたい気持ちもあった。
千円くらいの日用品でさえ買い渋るようなどケチな私なら、絶対に買わないだろうと思ってた。「自分は大丈夫って人が一番危ない」って本当だったんだな。これにしますと決めて、休日手数料も気にせずお金を下ろしにATMへ向かいながら、騙されてる自分を実感して、不思議と大人びた気持ちになっていた。現金一括払いした後、同じ会場に展示されていた絵画の作者経歴が、全部同じ国なのを見て、しんみりと残念な気分になった。
何より悲しいのは、その友人が私の大好きな人だったことかな。
一緒に住宅展示場やショッピングモールを見に行った時みたいに、「そういうイベント」を楽しむために誘ってくれたんだと思ってた。疑いはあったものの、いわゆる「勧誘」みたいなことをする人じゃないって信じたかった。実際、危ない話には一切触れなかったし、その日のランチやショッピングはいつも通りの彼女だった。宝石着けて鏡の前で変な顔して、笑い合ったりしてた。
彼女も「去年お母さんと行って楽しかったから」と言っていたから、もしかしたら本人も純粋な宝石展と思って誘ってくれたのかもしれない。そうじゃなかったとしても、信仰の自由、大いに結構。なのに何だろう、すごく悲しくなった。彼女にとって私は、騙されやすそうに見えたのか。はたまた縁が切れてもいいような存在だったのか。
大人びた気でいて、所詮は世間知らずの小娘だった。その後クーリングオフについて調べ、内容証明と配達証明で通知書を出し、また一つ私の人生経験値が上がった。これが宗教トラブル、裁判沙汰なんかのヘビーな経験に繋がらないことを祈っている。