手巻き寿司食べてたら、立派なゴキブリが現れたのですよ。
なんか私が見てないだけかもしれないけど、このマンションに引っ越して十年、ゴキブリを室内でお目にかかったことはほとんどない。ゴキブリといえば汚いもので、名前を出すのも嫌なんていう人もいるくらいの嫌われ者っていうのは知ってるんだけど、私は別に普通の虫と同じ感覚で、毛虫・幼虫・蚊・蜂あたりに比べたらだいぶマシな生き物だと思ってる。ビジュアルだってなかなかシックだし、あれにツノさえ生えれば一部の少年達のスターになれると思うんだよね。アンダーグラウンドな感じがいかにも中学生あたりにウケそうじゃないか。確かに家の中に出没してしかも飛ぶっていうのは厄介だし、大量に繁殖されたら気持ち悪いんだろうけど、こんな風にひょろっと侵入してきて単独行動してるなら別に騒ぐことじゃない。母がゴキブリを発見直後、父がタオルでの捕獲を試みたが失敗。そのままほっといて入浴して部屋に戻ると、私の布団で眠る母の足にゴキブリが!思わずウヒッ!とか気持ち悪い声を出して咄嗟にタオルを掴み、黒い影を見守りながら母から離れるのをワクワク待ってると、ものすごいスピードで私の足の甲の上を通過し、リビングで寝ていた父の体の下へ潜っていった。そのあまりの速さにビックリした。首の周りをウロチョロされた父はさすがに起きたので(母は起きないし起こさない方が幸せだと判断)、おとーさん!出たんだよ!こーんなでっかいのが!と、トトロに会った後のサツキメイ並にイキイキと報告し、その場は父に任せて私はスペシャのライジングサン特集を見始めた。だけどまたターゲットを見失ってしまったらしく、父も何事もなかったかのように母を起こして篤姫を見始めた。その後、怒髪天のフンドシ祭りあたりで父が見事ゴキブリを捕獲し、バルコニーから落としてようやく我が家に平和が戻った。いや別に平和乱れてなかったけどね。うちの家族はゴキブリに対しての危機感とかがまったくないことが発覚しました。また十年後に会おうぜ!