なんだか無性に人間が嫌いになる時期。誰ともうまくやっていけない、誰も理解してくれない、自分に自信が持てない……現実から遠ざかって異次元の世界を妄想しながら人を避け俯いて歩いてた、そんな私に話しかけてきた男性。日に焼けた肌、白いシャツ、野性的な髭、彫りの深い顔。片手に本を一冊持っただけの身軽な格好をした彼は唐突にこう言うのだ。「天使が舞い降りてきたかのような…幸せそうな顔をしていますね?」 天使っていうのはこんな風に、人間なんてみんな私の認識できない世界に消えればいいのに…って顔してんのか。何言ってんのこいつまじ引くわ国に帰ればいいのに…って顔してんのか。引くわ。汚物を見てた方がまだましって顔でしつこい勧誘を無視してショッピングセンターへ逃げ込んだ。別に不幸だとは思っちゃいないけど人類に失望しきってる最中にそんなこと言われた時の不快感といったら、ないね。自分は愚痴るだけ愚痴った後わざとらしく溜め息吐きながら「あいだちゃんは悩みなくていいね」って言われた時といい勝負。ねぇ本当に人間ってこんなのばっかりなのかい。どうすればいいんだい。まずは私が変わればいいのかい。変わるって明るく振る舞って誰からも好かれるように取り繕って上手な処世術を身に付けることかい。それができたら苦労してないって何度。諦めて失望し続けて騙し騙しやり過ごす。しかたないね。
外で話しかけてくる人間はみんなまともじゃない。これからは話しかける隙もないくらいダッシュで駆け抜けて、話しかける気力も失せるような服を着て、なるべく家にいよう。