不本意な死を遂げた者の魂がこの世に残留するのと、不本意な睡眠におちた私が夜中に何度も目を覚ます現象は、どこか似ている。
「眠る訳にはいかない。まだやり残したことがあるのだから」
しかし、どうすることもできないのだ。肉体は既に己の支配下にはない。まるで見えざる存在に操られているかのように、闇へと引きずられていく……それはどこか懐かしい、太古にこの世を支配していた大いなる存在……。
起きてようと思ってたらいつの間にか寝ちゃって夜中に目覚めたけど起き上がって電気を消す気力もなくもうどうでもよくなった時、そんな宇宙的なものを感じます。嘘です。あいだでした。
密室・殺人
小林泰三 (角川書店)
モザイク事件帳を借りようと思っていたけど、巻末の登場人物を見るとこっちを先に読んだ方が良さそうだったので。図書館に戻ってきたのをすかさず借りた。行く度にどれかの作品があったりなかったりするから、どんな人が小林泰三を読んでるのか一度顔を見てみたい。
タイトルから察する通り、主にミステリだった。ちょっと変わった名探偵。もちろん奇妙が口癖?の警部もいるよ。探偵だけじゃなくて村の老人や容疑者の女性まで論理的なことを語り出すのがもう鬱陶しくて、たまらないね。いい意味で。そして翻弄されてる関西弁の女の子(探偵助手)がかわいい。「本」とか「肉」でも関西弁の主人公は総じてかわいい。あと最近ドラマTRICKを見てた影響で、若い捜査員(西中島)が金髪の似非広島弁に変換される。殴ったらありがとうございます!!って言うと思う。
まともな(見た目や言動が少なくとも人間らしい)人が多く出てきて、取り調べとか調査とかまともな(少なくとも人間が実行可能で、臓器が出たりしない)場面も多く、冬山と別荘と密室と殺人って言葉だけ並べるとありきたりだけど、探偵自体の謎や、山に伝わる邪神、というかクトゥルフネタがいい感じにピチピチと絡んできて、イアイアして、面白かった。「時空争奪」みたいな侵食されていく感じが好きなので。本屋さんで文庫版を見つけたら買おうかな。個人的にかなり気に入りました。
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