駅を出て、大学の門から、煉瓦の坂道をのぼる。若者の足についていけない私は、前方にヨロヨロと歩いている年配の守衛さんを見つけると、その後ろをついて歩く。人混みの中であえてお年寄りの後ろを歩くのは私の癖である。そして若者の中を歩く時に三歩先の足元を凝視するのも私の癖である。単調なはずの坂道に変化。煉瓦の一ピースが丸ごとはがれ、真っ二つに割れて散らばっていた。どうやって歩いたらこんなことになるんだろう。守衛さんは黙って欠けた煉瓦を窪みに嵌め直した。
わりと最近まで成人になりたくなかったんだ。ずっと十代でいたいって思ってた。でも別に十代でいたってろくなこと起こりゃしないなって気付いた。若さだけが魅力じゃないよな。若い時期なんて隣のおばちゃんにも殺人犯にもあるんだし、そんなもん売りにすんのは、女子〇生と風俗嬢だけで十分。若くてかっこいい人よりも、年を取ってもかっこいい人の方が断然魅力的だと思うんだ。女は三十からが旬って仲間由紀恵も言ってたし、そう考えるとまだまだだな。そんなことを思いながら怒髪天オトナノススメをひたすら聴いてる。大人はサイコー!って言えるくらいになりたいぜー。
教室に着いて友達と他愛のないことを話す。今日もかわいいKちゃん、かわいい声で「学校の駅から歩いて来る時ね、地面のタイルみたいなの、躓いて外しちゃった」
犯人は君か!よし許す!!!