ノーミュージック・ノーライフ。「音楽のない人生なんてビールの切れた真夏日みたい」そう、街を歩けば必ずと言っていいほど、寄生した線虫に脳を貫通されているかのごとく、耳の穴から紐を垂らしている人を見かけますね。彼らは皆こうしていないと干からびちゃうのでしょう。かく言う私もイヤホンに寄生されたひとりです。一人で歩く時、とくに通学中は音楽が欠かせません。余計な喧騒を遮断したいのです。
だけど時に他人の会話というのは実に興味深く、意外な知識を脳に(半ば強引に)喰らわせてくれるものです。たとえば平日午前の住宅街。ささやかな公園、並木道。ハリガネムシのようなコードをチュルリと耳から引き抜いて、素朴な住民の声に耳を傾けてはいかがでしょうか。真冬とはいえ年始から晴天が続く昼下がりの神奈川、神社付近の曲がりくねった道は、静かで暖かく心地好かった。そして通りすがりの男子小学生の会話から、私は誠に有益な情報を耳にしました。
「魔界軍団ジエンドは弱い」
ほう。そうかそうか……で、魔界軍団ジエンドって何?
今日も天気がいい。こんな日は、きっとこの地球のどこかに魔界軍団ジエンドについて詳細を語りそうな小学生の会話を盗み聞きしている人がいるのだなぁと思ってくれれば幸いです。