5月31日から誕生日までが一年で一番時間の流れを意識する。
年末年始みたいにまったり浸る感じじゃなくて、ゆったり自分を運んでいく川の中で、河口に背を向けて爪を立てて抵抗してる感じ。いつもさらさら穏やかで、何の疑いもなく身を預けてる水の流れが、この時だけやけにもったり重くて、ぬるくて、音もない絶望的な力に、この流れに抗うことはできないのだと思い知らされる。
きっと私は年をとる日に、川底の大きな石に足元を浮かされるのに似た感覚を味わうんだと思う。直前の焦り、一瞬の浮遊感、それを過ぎてしまえば元と変わらない川の流れ。昔はもっと嬉しくて、楽しいものだったんだけどなぁ。
しばらく流されてから水深の変化に気付く。もうとりかえしがつかなくなってしまった。だけどそれも長くは続かない。のんきな空を見て、足の届かない川で、流されるのも悪くないな、と思い始める。時々石の存在を思い出して不安になるけど、流れを早く感じてるうちは、たぶん上流に手を伸ばそうとはしない。無駄だから。
それでもこの時期だけはあがいてしまう。水を掴んで、すがっている。