猫を起こしてしまわないようにと、携帯のアラームを鳴らさなくなったのは一ヶ月前だった。ちょうど夏休みに入っていたので早く起きる必要もなかった。しかし今朝も5時に一度目を覚ましてしまったのは、3年間アラームをこの時間に設定しっぱなしにしていた所為だろう。私は寝返りをうって猫の姿を目で探し、クッションの上で無防備に熟睡してるのを確認してからまた眠る。携帯なんかなくても、しばらくすれば気まぐれな時間に猫が起こしてくれるので、休みの日はそれが目覚ましになっていた。
午前中は涼しいうちに勉強に取り組む。休み明けの試験まであと2週間を切っている。そんなことも知らず猫は部屋を行ったり来たり、鳴いたり寝たり。こう、いきなり跳び付いてニャーってやってフギャーってしたくなる衝動に駆られながら、なんとか堪えて机に向かう。猫が寄ってくる。無視する。猫が膝に居座る。無視する。猫、眠る。早業。しまった。動けない。猫ごときに動きを封じられてしまった。そろそろ休憩にして思いっきりニャーってやってチャンラーンってしようとしたのに、これじゃあ勉強を続けざるを得ない。巧妙な手口だ。猫のくせに。だけど私だってタダで膝を貸す訳にはいかない、徹底的に猫の寝顔を見つめてやる。こんなに耳をピクピクさせちゃって…。恥ずかしがれ恥ずかしがれ。うふふ。
そんでもって夜は一緒に寝ようとして逃げられるんだよね。うっはーたまんねー。そんな妄想をしながら、速やかに寝ました。猫なんていません。