iPod touchを手放した話をします。
前回までのあらすじ。ひょんなことから居候することになったiPod touch、第一印象はサイアク!でも毎日一緒にいるうちに、次第に心を打ち解けてきて……今では毎晩ベッドインする仲に。このまま二人は結ばれるのか?
ついには携帯音楽プレーヤーとしての地位も、愛用ウォークマン(1GB)からiPod touch(32GB)へと譲位されました。いつしか出かける時の必需品のひとつ、なくてはならない存在になり始めていた、そんなある日のこと。
六月のはじめ、お気に入りのショッピングモールのベンチに腰掛け、いつものように悩ましげな表情でiPod touchを取り出して意味もなくアプリをいじり、いつものように誰からもメールの来ない携帯を無駄にチェックしたあと、携帯を鞄にしまい、「やれよっこいしょ」と立ち上がった、その時。
ブッツン
ベチャッ
膝に置いたままだったiPod touchが、イヤホンの束縛を振り払いながら、嫌な音立てて地面に落ちました。
実は、こういうことって初めてじゃないんです。「膝に乗っけた精密機器を立ち上がった時に落とす」という愚行が、月イチくらいのペースでわりと頻発していました。しかし最愛のガラケーも最愛のウォークマンも古すぎる故か妙に頑丈で、アスファルトと何度接触しようと大事には至りませんでした……で、今回落としたものはガラス。前面を下にして落下しました。見事にヒビ割れました。液晶まで達しなかったのが幸い。
この一連の出来事を、本来の持ち主には一切知らせていません。今日になってこっそり宅配修理に出しました。修理代11800円の見積もり。タダで手に入れたiPod touchを梱包しながら、なんだかしょっぱい気分。自分で買った物なら、自らの落下癖を見越して頑丈なケースと保護フィルムに財布の紐を弛めることに躊躇しなかったでしょうに……「私のじゃないから」と思ってしまったことがアダとなりました。
なんて悪いことをしたんだろう。申し訳ない気持ちでいっぱいです。帰ってきたらまず最初に抱きしめてあげたい。「……ばかっ…!」って呟きながら、雨の中。それから「おかえり」って、微笑みながら、びしょ濡れの手で電源を入れて、ショートしたiPod touchを抱えて絶望。そんな青春を過ごしたい。