私ってぇ夏になるとわりとナンパされるんですよぉ。
自分で言うのも相当湧いてると思いますが、夏限定で、声をかけられたことが何度かあります。言うまでもなく、私はモテカワ愛され女子とは程遠い存在です。とくに同じ学校など近い距離にある人ほど、「教室の隅の少人数グループのとくに地味な人」くらいの認識。正直、高校時代まともに話した男子の数より、人生で骨折した回数のほうが多い。
しかし知らない人からすれば、「ほ乳類のメス」という点で他の愛され女子と何ら変わりはありません。むしろ地味で真面目そうなほうが声をかけやすいのか。ほら、国籍不明の人によく道を尋ねられるし。あと田舎っぽい雰囲気がチョロそうなオーラを演出してるのかと。怪しい宗教にもよく勧誘されるしな。少々劣る見た目も歩いてる時は、なんかこう時空が歪んで、うまい具合に誤魔化せてるのだと思います。
日曜日にもこんなことがありました。本屋でいったん母と分かれ、それぞれ好きなコーナーを物色していたとき。私が文庫本の最新コーナーにいると、水色のシャツをインした男性が隣に来て本を手に取りました。私がホラー系のコーナーに移動すると、また同じ水色が隣に立って本を取りました。二度目の移動で「コイツさっきもいたな」とぼんやり思い、三度目の移動で違和感を覚え、四度目の移動で確信に。
勘違いだとしても離れるに越したことはない(汗臭いし)、と、女子力高めのスイーツ系コーナーへ移動。ここならついてこれまい、と女子力の低そうな旅行雑誌を手に取りました。箱根特集に見入っていると
「旅行ですか」
ゆっくり顔を上げると、水色のシャツ、手に持ったスイーツ雑誌、森〇レオ似の顔と白髪まじりの頭が順に視界に入りました。完全に油断していた。私でさえ躊躇う女性誌コーナーに入ってくるなんて……まさか、この男、女子力53万……!
「学生ですか」
「あ…まぁ…」
「大学生ですか」
「え…まぁ…」
「本よく読むんですか」
「いえ全く」(←なぜかここだけキッパリ)
お茶に誘われて断ったら何も言わず離れていきました。帰りに駅前で見かけた時は、マダムに声をかけて無視されていました。
夏にモテる、というより、暑くなると変な人が増える、が正解ですね。ちなみに声としゃべり方の抑揚まで森〇レオに似ていてビックリしました。